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2014/05/13 プレスリリース

「改正フロン法」の基本指針と政省令策定にあたって、意見書を出しました。

5月13日、ストップ・フロン全国連絡会は、気候ネットワーク、主婦連合会と共同で、「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(改正フロン法)」の施行令の検討にあたって意見書を発表しました。

2013年6月5日に成立した「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(改正フロン法)」の施行令については、現在、環境省中央環 境審議会及び経済産業省産業構造審議会の委員会にて検討作業が行なわれています。「フロン法」は、これまでのフロン類の回収・破壊に限定された制度から、 製造段階からの段階的削減や機器ごとの削減目標を定めるなど大幅な改正が行なわれました。気候変動問題に対しての科学的知見、国際的な情勢などもふまえ て、今後日本におけるフロン排出をゼロにしていくために、最初の指針策定や今後の方向性を定めることは非常に重要です。本意見書では、以下の点について問 題点を指摘し、ノンフロン社会の実現をめざして提言しています。

 

1.指針について

(1)目指すべき姿で「フロン類の廃絶と排出ゼロをめざす」

(2)フロン類の製造業者等の判断の基準について ~フロン類の廃絶に向けたロードマップの策定を~

(3)指定製品の製造業者等の判断の基準について ~目標値をシンプルな基準にすべき~

 

2.対象とする機器・用途と削減スケジュールについて

(1)家庭用ヒートポンプ給湯器など用途拡大への懸念

(2)対象製品の削減目標が不十分 3.安全性と経済性についての考え方

(1)経済性について

(2)安全性・毒性などのアセスメントについて


以下、プレスリリース全文

2014年5月13日

「改正フロン法」の基本指針と政省令策定にあたって

気候ネットワーク 主婦連合会 ストップ・フロン全国連絡会

昨年6月5日に成立した「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(改正フロン法)」の施行令について環境省中央環境審議会及び経済産業省産業構造審議会の委員会にて検討作業が行なわれています。

今般の「フロン法」は、これまでのフロン類の回収・破壊に限定された制度から、製造段階からの段階的削減や機器ごとの削減目標を定めるなど大幅な改正が行なわれました。気候変動問題に対しての科学的知見、国際的な情勢などもふまえて、今後日本におけるフロン排出をゼロにしていくために、最初の指針策定や今後の方向性を定めることは非常に重要です。 以下に、改正フロン法の政省令策定にあたっての意見を述べます。

1.指針について

(1)目指すべき姿で「フロン類の廃絶と排出ゼロをめざす」 昨年3月の審議会の答申「今後のフロン類等対策の方向性について」の中で、「代替フロン等 3 ガスについては、低 GWP 冷媒の導入や代替物質の開発や代替物質のない分野における排出抑制の徹底により排出がほぼゼロになって」いることが将来の目指すべき姿として明示されました。 また、今回の改正法案採決時には衆議院環境委員会 および参議院環境委員会 において附帯決議が決議されています。附帯決議では、「フロン類は中長期的には廃絶することが望ましいとの展望を明確化した上で、代替物質への転換を加速化するインセンティブとなる具体的な施策を実施すること(参)」が明記されたほか、「フロン類の回収状況をより正確に把握するため、フロン類の種類別、用途別の生産量、出荷量等の必要となる情報、その算定方法などについて検討を加え、必要に応じその見直しを行なうこと(衆)」や、「フロン類から自然冷媒を含めて代替物質への転換が極めて重要であることに鑑み、フロン類の代替物質の評価に際しては、安全性、経済性、供給の安定性等に留意しつつ、代替物質への転換が確実かつ迅速に進むように、適切に対応すること(参)」と記されています。 政府はこれらの附帯決議を尊重し、指針に「フロン類は中長期的には廃絶すること」を明記した上で、対象製品の選定や目標年度の考え方を明示する必要があります。

(2)フロン類の製造業者等の判断の基準について ~フロン類の廃絶に向けたロードマップの策定を~ 冷媒としてフロン類を使用した場合、製造から排出までの間にタイムラグがあります。1996年に 製造禁止となったクロロフルオロカーボン(CFC)が未だに一部の機器で使用され、市中バンクとして存在しながら、その一部しか回収できていない現状をふまえれば、製造から排出までのタイムラグを約20年とみるのが妥当です。したがって、2050年に「フロン類の排出をほぼゼロ」にするためには、フロン類の製造やフロン使用機器の製造を禁止する時期としては、今から多くの対象製品を規制しつつ、少なくとも2030年には全てのフロン類やフロン使用機器の製造を全廃とするのが適当です。 フロン類の製造業者等の判断の基準については、2030年の全廃を目標値として、段階的削減のスケジュールを示すべきです。 また、国会の附帯決議を尊重し、フロン類製造業者が「フロン類の種類別、用途別の生産量、出荷量等の必要となる情報」の報告および公表することを明記するべきです。

(3)指定製品の製造業者等の判断の基準について ~目標値をシンプルな基準にすべき~ 指定製品の製造業者の判断基準における目標値の考え方として、「指定製品の区分ごとにおける製品出荷台数で加重平均したGWP値、目標年度において一定のGWP値を達成した製品の出荷割合等を基本的な指標として設定する」と示されていますが、この間行なわれている産構審のフロン類等対策WGの議論でその内容が具体化していく中で、この指針が次の点から適当ではないことが明らかになってきました。 その理由は、① 欧州のFガス規制のように高GWPの製品を禁止していないため、機器全体がトップランナー基準にあわせるインセンティブが働かず、高いGWPの製品が残り続ける可能性が高いこと、② 製品のラインナップとしてフロン類のものが残っていればユーザーのニーズに機器の出荷台数が左右され、メーカーにとっても目標を達成しにくい状況であること、③ 出荷台数で加重平均する方法は、どんな冷媒を使っているのか一般の消費者・ユーザーから見えにくく、「見える化」の方向とも整合がとれていないこと、などがあげられます。 トップランナー方式を採用するのであれば、出荷台数の加重平均とするのではなく、機器ごとにトップランナー基準を設けて全ての機器をトップランナーにするためのシンプルな目標とすべきです。

2.対象とする機器・用途と削減スケジュールについて

(1)家庭用ヒートポンプ給湯器など用途拡大への懸念 これまでフロンを使っていなかった新たな分野で、今後フロン類の使用が拡大することは、基本方針からも大きく逸脱しています。 家庭用ヒートポンプ給湯器は、CO2冷媒で国内30社のメーカーが製品化し、普及しています。それにもかかわらず、HFC32を冷媒とする機器が開発され今後拡大する懸念が出てきています(別添 )。これに対して法的に規制せずに拡大することを放置するのではなく、対象製品とし、目標は直ちにGWP1(CO2冷媒)とすることを明記するべきです。 ヒートポンプ給湯器以外でも、最近新たにフロン(HFC)が、ヒートポンプ式洗濯乾燥機の冷媒(HFC134aなど)、地熱バイナリー発電システムの冷媒(HFC245faなど)、ドライクリーニング洗濯機用の洗浄剤(HFC365mfc)で使われはじめました。今後拡大を防ぐためにも、規制対象とすべきと考えます。

(2)対象製品の削減目標が不十分 フロン類の中長期的な廃絶をめざし、代替物質への転換を加速化するインセンティブとなる具体的な施策が求められる中、自然冷媒が確立している以下の分野での目標の議論が極めて不十分です。

①コンデンシングユニットについて 日本では、CO2冷媒(GWP=1)のショーケースが商品化されているほか、様々なメーカーが自然冷媒のショーケース開発をしています。すでに大手のスーパーマーケットやコンビニでも導入がはじまっている分野の一つです。この分野はフロンの漏洩量がとりわけ多く、排出量全体に占める割合も大きい分野です。今回の判断基準によって、CO2冷媒への転換を後押しすることが必要です。 今年決定した欧州のFガス規制では、スーパーマーケットで使われるショーケース用の冷凍冷蔵機器について、2022年までにGWP150以上のものを禁止する措置をとりました。40kW以上のマルチシステムの機器が対象となっていますが、この規模は普通の大手スーパーマーケットで使われているものです。日本においても、スーパーやコンビニのショーケースでCO2冷媒への転換が確実かつ迅速に進むよう、Fガス規制と同じレベルで設定することが必要です。

②倉庫用の冷凍冷蔵機器について 中央方式冷凍冷蔵機器として、「有効容積が5万立方メートル以上の冷凍冷蔵倉庫の新築、改築又は増築に伴って当該倉庫向けに出荷されるものに限る。」と大型のものに限定され、新改築と増築のケースに限定されています。この分野においても、アンモニアや空気冷媒など自然冷媒が確立している分野です。今回の基準でノンフロン化を後押しする分野の一つです。また、同じ機器でも、倉庫は対象になるが、食品工場の機器は対象にならないなどという使用用途で分けることは規制の抜け道になりかねません。

3.安全性と経済性についての考え方

審議会では、HFCからの代替に関する経済性や安全性を考慮する必要性があるとされています。今回、用途指定の対象とするかどうか、メーカーのヒアリングによる一方的な申告によって審議が進められていますが、「コストが高いから現状では転換が困難」「安全性についての技術が確立していないから現実的ではない」といった観念的なメーカーの主観で対象がせばめられ、代替も現状をするだけの方向性で、将来の全廃に向けたロードマップとしての道筋が描かれていません。 経済性や安全性については、客観的に納得できる情報を共有した上で、議論されるべきです。

(1)経済性について コストの論議をするにあたって、事業者のヒアリングによる定性的な情報にのみ委ねられており、定量的なコスト情報が示されていません。その結果、イニシャルコストとして「フロンの機器は安く、自然冷媒(CO2やアンモニア)の機器は高い」として、自然冷媒への転換に大きく踏み切れていません。 経済性について議論する場合、機器本体のイニシャルコストだけではなく、冷媒の価格動向や機器のメンテナンス・冷媒回収破壊のコストなどもあわせてトータルで評価できるよう、具体的なコストを明示した上で議論するべきです。

(2)安全性・毒性などのアセスメントについて HFC32やHFC1234yfなどに関するアセスメントが結論ありきですすめられていますが、業界や経済産業省の機関などによる評価であり、第三者による客観的なアセスメントとは言えません。 例えば、HFC32については、フロン対策WGでは「可燃性ガスに該当しない」と結論づけられつつありますが、国連のGHS(化学品の分類および表示における世界調和システム)では「極めて可燃性の高いガス」に、米国のASHRAEの冷媒規格では「クラス2L(微燃性)」に区分されているものです。熱分解した場合の有毒ガスの発生についてもまだ評価は不十分です。 一方、例えば炭化水素などの自然冷媒についても評価は十分行われていません。機器ごとに各冷媒の使用時の事故リスクなどを比較検証し、どの用途でどういう安全対策を講じれば使用が可能なのかを客観的に明示していくべきです。

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特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議 (衆議院環境委員会 2013年5月10日)

特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議 (参議院環境委員会 2013年5月30日)

家庭用ヒートポンプ給湯器は自然冷媒が主流 ~自然冷媒からフロン(HFC32)への逆行にブレーキを~ (気候ネットワークほか 2014年4月22日)

 

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