コラムコラム

2007/04/29

オゾン層破壊について

地球環境問題と言えばオゾン層破壊と温暖化というほど、人間活動は、大気組成に関与してきたことを改めて痛切に感じざるを得ない。ここ100年ほどの大気組成の変化は急激で、深刻な問題となっている。1974年のローランドとモリーナの予言は1982年の南極上空にぽっかり空いたオゾンホールとして人々をパニックに陥れた。オゾン層破壊を危惧する科学者の誰一人予期せぬ事態であったであろう。実験室で再現実験を行ったローランドもまたそうであったと思う。

オゾンホール出現と言う緊急事態の前に「何故?南極だけに」の論議は少なくとも日本では立ち消えてしまったように見えた。南極のオゾン層を破壊したフロンは南極以外のオゾン層にも侵入していたが紫外線により分解されたフロンよりの塩素ラジカルは、これまた人間活動により増大しているNOxと反応し除去されていたのである。まさに毒をもって毒を制するドラマが地球を守っていたことになる。冬の極成層圏雲の氷晶はNOxを溶かし込み除去する。勿論フロンは紫外線を受けることなく分解も進まず留まり続ける。

8月南極に春の太陽が戻ってくると紫外線によりフロンは分解され敵のいないオゾン層でオゾンを破壊し尽くしてしまう。温暖化による地表温度の上昇は対流圏上部や成層圏を寒冷化させオゾン層破壊を助長する。温暖化は止まることなく進行しているため。オゾンホールは消失せずホール下の生態系に悪影響を与え続けている。オゾンホールの問題は脱フロンと温暖化の競争のようにも見える。そのシミュレーション結果が2050年回復として発表された。

もともと自然界の植物由来の有機塩素が大量にオゾン層に侵入しているが、バクテリアや山火事、火山の噴火に由来するNOxとこのような競合関係はあったのであろう。

いやむしろ地球が回り続けるための自浄機構なのであろう。そこに人間由来のフロンが加わりバランスを崩した結果がオゾンホールの出現である。翻って見るまでもなく増加しているのは二酸化炭素だけではない。人間由来の、ハロカーボン、NOx、N2O、メタンはともに増加し続けている。中でもN2O、メタンはの増加は不気味で共に温暖化ガスであるだけではなくオゾン層破壊物質となる。特に安定しているN2Oは成層圏の強い紫外線でしか分解できない。メタンは大気中の浄化成分である水酸ラジカルを食いつぶしながらも増加し続けている。

またこれらによるオゾン層破壊が起きた場合は当初多くの科学者が予想した全地球型の薄く広いオゾン層破壊となるであろう。破壊の規模も影響も全く予想できない。有機塩素を放出するシダの生態系が被害を押さえてくれるかもしれない。

こう考えてくると「2050年のオゾン層回復」の楽観は出来ないと思う。

NASAは2020年頃のオゾン層回復の予想を発表しその後「温暖化を過小に評価した」と撤回したのは記憶に新しいばかりである。

6月12日

武田満/ストップ・フロン全国連絡会会員

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